私の兄は、アイドルです。
 



──そして、翌日。

お昼の11時。



私が部屋で出掛ける用意をしてると、準備万端のお兄ちゃんがやってきた。


わざわざ私の部屋まで来るなんて……珍しいな。


そう思いながらお兄ちゃんの方に顔を向けると




「お前今日はリハーサル来んな。兄貴命令だ」



……は?

いやいやいやいや、
そんな急に言われても……ねぇ?



「えっ?もう用意しちゃってるんだけど……」


もうメイクしちゃったし……服も着替えたし。


私は、自分自身に指を差しながらお兄ちゃんに言ってみた。



けど……


「だから来んなっつってんの。
俺らの大事なリハーサルが、お前が来てぶっ倒れて中断したら大大大迷惑だろうが」



本気で迷惑そうな顔をしながら、こう言われた。



「……うん……」


確かに……
……そうだよね……

昨日フラついて迷惑掛けちゃったし……


そんな事言われたら…
……行けないじゃん…



私の返事を聞いたと思ったら



「分かったか。じゃあな。今日は大人しく引きこもっとけよ?」


こう言って部屋から出て行こうとしたから



「はぁい……いってらっしゃーい」



 
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