私の兄は、アイドルです。
春サンと他愛ない話をするけど……
……ちょっとだけ、
ちょっっっとだけ
バカ兄が心配になってきたよ……
一体どうした?お兄ちゃん……
「今は休憩中なんだ。
直人の調子が良くなるまでな!
だから俺ってばコンビニ行ってたんだ~」
コンビニの袋を掲げてニパっと笑う春サン。
アイドルが自分でコンビニに行くなんて……
店員さん、めちゃくちゃビックリしただろうな……
──そんなどうでもいい事を考えながら
けどちょっとバカ兄に不安を感じつつ、
話をしながら春サンの後に付いてホールに入っていった。
入り口ってば……
めちゃくちゃ分かりにくい所にあるんだもん!!
さすが“関係者専用入り口”だなって感じ。
隅っこの方にある、少し小さな鉄のドア。
こんなの……絶対気付く訳ないじゃん!
心の中でツッコミつつ……
そのドアから中に入り、無機質で薄暗い通路を歩き。
大きなドアを開けると……
「あれっ!音遠ちゃんじゃん!」
「……枕……じゃなかった、音遠だ……」
そこはステージ裏で。
私を見て驚いた豊さんに優希さんが、備え付けられた机に向かいながら椅子に座っていた。