私の兄は、アイドルです。
 



「あ、遅くなりました……?」

ん~、こういう場合はどう挨拶したらいいんだ?


ちょっと迷いながらも微妙な挨拶をすると




「……なんでいんの?
お前。」


「ぉわっ!?
びっ……くりした……!
急に背後から現れないでよ、お兄ちゃん」


マジでビックリしたし!



コーラゼロを飲みながらぬっと現れたお兄ちゃん。


何故かその表情は、どことなく怒ってるように見えた。




「……なぁ音遠。
俺お前に言ったよな?
……“来んな”って」



うっ……!


にじり寄るお兄ちゃんは……

“どことなく”じゃなくて“確実に”怒ってる!


言い訳しなきゃ……
キレられる!!



「でも……だって!」


私が言い訳しようとしたんだけど



「はぁ……バカみてェ……」



小さく溜め息を吐き、それだけ呟くと

お兄ちゃんは少しだけ自嘲気味に笑った。



??

訳分かんないし……
バカ?私が?

眉間にシワを寄せて考えてると



「……おら、来たんなら仕事してもらうぞ?」


「あぁー……
やっぱりそうなるんだね……?」



「ジュース買って来い。もちろんコーラゼロな」



 
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