私の兄は、アイドルです。
「あっ、待ってよ!」
それに合わせるように立ち上がった私。
っていうか、あれ?
なんか……いつも通りに戻ってるや……
さっきまで……
機嫌極悪だったのに……
っていうか……
「ちょ、お兄ちゃん……?」
「あ?んだよ」
「……何、この手は。」
「あぁ!?お前昨日ぶっ倒れたろうが!
黙って引っ張られとけ、チビ」
「~~はぁぁぁあ!?」
私の右手は、お兄ちゃんの左手にしっかりと握られたワケで。
兄妹で手を繋ぐだなんて……
私からしたらものすごぉぉく気持ち悪すぎるけど。
もしかして……
心配、してくれてたの……?
「ほら、早く歩けよ」
再度手をグイッと引っ張ったお兄ちゃん。
……その手はなんだか優しくて。
「……ありがと」
ちょっとだけ素直になってやろうかと思ったんだ。
思い返したら……小学生の時ぶりかも。
久しぶりに繋いだお兄ちゃんの手は、以前よりもカナリ大きくなっていて。
なんだか凄く、暖かかった。
「うげっ、お前なんか気持ち悪ィな。
笑顔で急にお礼言うなんて」
やっぱり驚いた様子のお兄ちゃん。