私の兄は、アイドルです。
般若のような恐ろしすぎる顔をしてるお兄ちゃんに、全力で土下座をした乙女・私。泣。
まさか……
昨日は悩んで眠れなかったなんて、言えないし。
──お兄ちゃんの激怒りを受けた私は、マッハで出掛ける用意をした。
お兄ちゃんは……マネージャーの渡さんに電話してるんだけど……
「はい、スミマセン……
俺の気が緩んでたせいです。
着信いっぱい入れてくれてたのに、気が付かなくて本当にスミマセン。
今から直ぐに行きます」
そう言って電話を切ったんだ。
私が寝坊したばっかりにいっぱい謝ってる……
現場に行ったら、もっともっといっぱい謝らないといけないし。
お兄ちゃん……
ごめんなさい……
バカすぎる自分に泣きそうだ……
「おい、バカ音遠。
行くぞ」
帽子を深く被ったお兄ちゃんが、私に声を掛けて玄関に向かったからついて行く。
「渡さん迎えに来てくれないんだね……?」
「あぁ?そりゃそうだろ。
俺らは4人組なんだから、渡さんも俺にばっか構ってらんねぇよ」
「そうですよね……」