私の兄は、アイドルです。
 



だってその時のお兄ちゃんの拳には、血管や筋がハッキリと浮かび上がってて……

見てるこっちも分かるくらい、きっと強い力で握り締めてたんだと思うから。



けど私は……



更にお兄ちゃんを責めた。

だって本当にムカついてたから。汗。




「しかもっ!そんな思いしてきてまでコーラゼロ買ってきたのに……
文句ばっかり言って!」



「……それはっ」



「確かに本番前にいなくなって迷惑掛けちゃったのは謝る!
……でもその前に!
自分のファンならちゃんとまとめてよねっ!」




ふんっ!
言ってやったわ!

コーラゼロの罪(?)は重いんじゃ!
反省しろ、バカ兄!



満足感たっぷりの私に反して、なんだか珍しくシュンとしたお兄ちゃんは。




「音遠……
…………悪かった……」



深く頭を下げて、謝ったんだ……



って




あの バカ兄が


私に 頭を下げて



謝った?




………これはマズい!




「ももももういいから、頭上げてよお兄ちゃん!
私、大丈夫だから!」



「音遠……悪かった。
……退院の手続きしてくるわ」



 
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