私の兄は、アイドルです。
「あーうっせ。お前、今何時だと思ってんだよ。
近所迷惑考えろよバーカ」
くっ……
ハラタツ……!
1人だけ冷静に対応しやがって!
まるで私が悪いみたいじゃん!
お兄ちゃんは、ドアの前でアグラをかきながら悠々と読書を始めた。
こうなったら……
こうなったら……
お望み通り、
その冷たい床の上で一晩中監視してればいいわ
バカ兄がぁっ!
「……おやすみっ」
「はっ、押し弱ぇ奴。
チョロいわ」
私がガバッと布団に潜り込んだ瞬間に何か聞こえた気がするけど……
ってか確実にイヤミ聞こえたけど……
久しぶりの自分のベッドが気持ち良すぎて――
――私は、一気に眠りに堕ちた。
何時間経ったか分からないけど、
夢現(ゆめうつつ)の中で声が聞こえてた気がした。
「──なぁ音遠……起きてるか?」
「……ん……」
話し掛けられた事で
微かに覚醒しかける頭
けど
目は覚めない
「……俺さ?
死ぬかと思った。
お前がいなくなったって分かった時……」
「…………」
声が、聞こえてた気がしたんだけど
お兄ちゃんのハズがない