霊界のアル ―幽体離脱―

コウ

11歳のある日、僕は学校へ行く準備をしていた。するとドアをノックする音がなった。もうこんな時間か。アイツが迎えにきた。
コウが…
そう、僕の友達。
僕にも出来た。
僕が11歳になったと同時に、学校で一人友達が出来た。
11歳になった僕は小さい頃に比べて少し人と喋るようになっていた。
人見知りも和らいだと思う。
家で優しい笑顔を鏡で練習したりした。
多分そのおかげだと思う。
彼の名前はコウ。
クラスが同じになったときあいつから話しかけてきた。
コウはブラウンの髪にブルーの目。少しそばかすが目立つチビな少年だ。
やつは、学校の時間になると僕を迎えにくるときがある。

「やぁ、コウ。今日も迎えにきてくれたんだね。入りなよ。」僕はコウを自分の部屋にこっそり連れ込んだ。親に見つからないように。
何故親に秘密かというと、
まぁ、たしかに迎えにきてくれただけだからコソコソする必要ないんだと思うけど。
彼は 実のところ迎えに来たわけじゃないから。
彼の制服のポケットにはいつもビスケットとクレヨンが入ってる。今日もきっと入ってるだろう。

ようするに彼は遊びに来ているんだ。僕と遊ぶために学校に仮病を使ってね。
そうなると流れ的に僕も休む羽目になる。
彼と同じように。仮病を使って。彼も僕の母にバレたらめんどくさいことになるだろう。
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