魔念村殺人事件
第十二話 嫉妬
 お茶の間に戻ってくると、春樹がすぐ陸に気付いた。


「悪かったな陸。正信は水飲んだか?」


「ああ。水飲んで少し話したら寝たよ」


 それを聞いていた章吾達は安堵の溜息を吐いた。

 けれども俺は、正信から聞いた話しが気になり、鈴音に視線を向けると優しい口調で問うた。


「鈴音ちゃん、最後に見た美紀ちゃんの顔覚えている?」


 そんな質問に対し、鈴音はみるみる驚愕の表情に変わった。目を大きく見開き、口を中途半端に開き、それは誰の目にも明らかだったのである。


「何よ……それ。どんな意味があって私にそんなこと訊くのよ!」


 鈴音は段々声を荒げ、俺をねめつけた。

 陸が優しく質問した内容は怒るようなことではないため、春樹と章吾と瑞穂の三人は不思議そうな顔をしている。


「どうしちゃったの鈴音?」

 瑞穂が心配そうに訊いても、鈴音は陸をねめつけたままだった。

 そんな鈴音に、春樹と章吾も慌てて声をかけた。
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