魔念村殺人事件
「おい、鈴音どうしたんだよ?」


「何で怒るんだよ。今陸が腹立つようなこと云ったか?」


 春樹の問いに鈴音は視線を春樹に向け、ようやく答えた。


「きっと石川さんは知ってるのよ。だから……」


「陸が何を知ってるんだよ?」


 更に春樹が訊いたが、今度は黙り込み俯いた。そして唇を噛みしめている。


「なぁ陸、お前が何を知ってるっていうんだ?」


「いや、俺はただ訊いただけだよ。さっき正信君が、最後に見た美紀の顔を思い出したっていうものだから。じゃあ鈴音ちゃんにも訊いてみようと思っただけで……」


「そうか。鈴音、そういうことだ。一体どうしたんだよ。なぁ?」


 陸と春樹は俯いたままの鈴音を見て顔を見合わせた。そして、章吾と瑞穂も首を傾げながら鈴音を見ていた。

 皆に注目されて気まずくなったのか、鈴音はゆっくりと顔を上げ陸を見た。

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