魔念村殺人事件
 そんな鈴音にビックリした顔をした瑞穂は立ち上がると、先にお茶の間から出ようとしている鈴音の後に続き部屋を出て行った。

 お茶の間に残された俺や春樹と章吾の三人も、鈴音の態度に驚くと同時に不思議に思い、言葉を失った。

 鈴音は美紀に対し、相当嫉妬しているのだろう。美紀がいなくなって良かったと云わんばかりに。そして、鈴音は何かを知っているだろう。もしかしたら美紀が行方不明になった理由を知っているのかもしれない。

 陸が難しい顔で考えていると、引き戸が開き、瑞穂が戻ってきた。

 すぐさま春樹が鈴音の様子を訊ねた。


「瑞穂、鈴音の様子どうだった?」


「うん。正信の部屋と廊下を挟んで向かいの部屋に連れて行ったのだけれど、何だか元気がないような、様子がいつもと違ったわ。喉渇いたからお茶持ってきて欲しいって云うものだから、今鈴音に持っていくわ。まだそこにあるわよね?」


 瑞穂は困ったような顔で説明した。そしてお茶の間の隅に視線を向け、春樹に訊いた。

 お茶の間の隅には、買ってきたペットボトルや食料がまとめて置いてあり、春樹はお茶のペットボトルを一つ手に取ると瑞穂に渡した。
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