魔念村殺人事件
章吾は申し訳なさそうな顔で瑞穂に謝った。
「悪いな瑞穂、鈴音のやつ自分で取りにくればいいのに」
「仕方ないわ。鈴音は昔から意地っぱりなところがあるから、取りに行き辛かったのね」
疲れたような微笑みを見せると、瑞穂はお茶のペットボトルを持ち、お茶の間を出て行った。
章吾は「はぁ」と溜息を吐き、黒縁眼鏡の奥で目を伏せた。
そんな章吾に問いかけるように、春樹はぽつりと云った。
「鈴音はどうしてあんなこと云ったんだろう。鈴音だって美紀と仲が良かったのに」
「あいつは……、鈴音は、俺が美紀の話しするだけで不機嫌になるんだ。それは昔からだよ」
「そうなのか! 仲が良いように見えてたのに」
「多分美紀のことはライバルみたいに思っていたんだろう。だから嫉妬してたのかもしれないな。俺も春樹も皆美紀のことが好きだったわけだし。鈴音にしてみたら、春樹を好きなのに、春樹は美紀に夢中なわけだから嫉妬もするだろう」
春樹と章吾は揃って疲れた顔をしていた。
嫉妬か……。それは誰の目にも明らかだ。鈴音は美紀のことで何を隠しているんだろう。さっきの『きっと石川さんは知っているのよ』という言葉。俺が何を知っていると勘違いしたのだろうか?
陸は黙り込み、考えあぐねていると、瑞穂がお茶の間に再び戻ってきた。
「悪いな瑞穂、鈴音のやつ自分で取りにくればいいのに」
「仕方ないわ。鈴音は昔から意地っぱりなところがあるから、取りに行き辛かったのね」
疲れたような微笑みを見せると、瑞穂はお茶のペットボトルを持ち、お茶の間を出て行った。
章吾は「はぁ」と溜息を吐き、黒縁眼鏡の奥で目を伏せた。
そんな章吾に問いかけるように、春樹はぽつりと云った。
「鈴音はどうしてあんなこと云ったんだろう。鈴音だって美紀と仲が良かったのに」
「あいつは……、鈴音は、俺が美紀の話しするだけで不機嫌になるんだ。それは昔からだよ」
「そうなのか! 仲が良いように見えてたのに」
「多分美紀のことはライバルみたいに思っていたんだろう。だから嫉妬してたのかもしれないな。俺も春樹も皆美紀のことが好きだったわけだし。鈴音にしてみたら、春樹を好きなのに、春樹は美紀に夢中なわけだから嫉妬もするだろう」
春樹と章吾は揃って疲れた顔をしていた。
嫉妬か……。それは誰の目にも明らかだ。鈴音は美紀のことで何を隠しているんだろう。さっきの『きっと石川さんは知っているのよ』という言葉。俺が何を知っていると勘違いしたのだろうか?
陸は黙り込み、考えあぐねていると、瑞穂がお茶の間に再び戻ってきた。