魔念村殺人事件
「そうね、私達が村にいた頃は皆仲が良かったわ」


「そうだよな。でも俺達三人が村を出てからのことは分からないけれど」


 美紀が行方不明になった時、既に村から出ていたこの三人には分からないのだろう。もしかしたら、三人が村を出てから何かあったのかもしれない。それを訊くのは真優が死んでしまった今、正信しか思いつかなかった。


「正信君が話せる状態であるならば訊いてみましょうか?」


 春樹は俺の考えていることが分かったのだろう。すぐさま俺に視線を向けた。


「そうか、俺達三人が村を出た後、鈴音と美紀の間で何かあったのかもしれないしな」


 瑞穂と章吾は「成程」と頷いた。


「陸、それならお前が訊いた方がいいかもな。でも、もし正信が寝ていたら無理に起こすなよ。起きた時に訊けばいいんだから」


「分かってるよ。正信君は熱あるんだし無理強いはしない。じゃ、ちょっと行ってくるよ」


 陸は立ち上がると引き戸を開け、お茶の間を出て行った。

 薄暗い廊下は静まり返っており、不気味に思えた。
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