魔念村殺人事件
「俺は魔念村で生まれ、高校を卒業するまで村にいたんだ。それはいつか陸にも話したことがあると思うけれども。魔念村は、もうその頃から人口は少なく、学生は俺を含め七人しかいなかったんだ。中学と高校は隣接していて、小学校はすでになくなっていたけれど。俺達七人は、村で唯一年齢が近いこともあって皆兄弟みたいに暮らしてきた。
その中で俺は大沢美紀を好きになったんだ。美紀は色が白くて長い黒髪がよく似合う美人だった。村では一番の美人と皆に云われていたよ。彼女は俺の二つ年下で、いつしか付き合うようになった。でも村には大学も就職先もないから、俺は高校を卒業すると東京に出た。その時、村を離れるバス亭の前で、美紀と別れたのが本当の最後になった。俺が東京に出て二ヶ月後、美紀が行方不明になったと聞いたんだ。それからいくら探しても見つからず、去年廃村になってしまった。だから、ケムンドウからの手紙はあり得ない。美紀と待っているなんて……」
春樹は彼女を思い出したのだろう、涙声になっていた。
しかし、ケムンドウっていうのは一体。そう疑問に思った陸は、ビールを飲み干すと質問した。
その中で俺は大沢美紀を好きになったんだ。美紀は色が白くて長い黒髪がよく似合う美人だった。村では一番の美人と皆に云われていたよ。彼女は俺の二つ年下で、いつしか付き合うようになった。でも村には大学も就職先もないから、俺は高校を卒業すると東京に出た。その時、村を離れるバス亭の前で、美紀と別れたのが本当の最後になった。俺が東京に出て二ヶ月後、美紀が行方不明になったと聞いたんだ。それからいくら探しても見つからず、去年廃村になってしまった。だから、ケムンドウからの手紙はあり得ない。美紀と待っているなんて……」
春樹は彼女を思い出したのだろう、涙声になっていた。
しかし、ケムンドウっていうのは一体。そう疑問に思った陸は、ビールを飲み干すと質問した。