魔念村殺人事件
 雨は止む気配を微塵にも見せず、夜は刻々と過ぎていったのである。

 そして俺と春樹は、風で何かがぶつかるような物音でふと目が覚めた。

 陸が腕時計を見ると、時刻は午前五時。


「まだ五時だよ。何の音だ?」


「見に行くか」


 陸と春樹は身体を起こすと、部屋の引き戸をそっと開けた。

 廊下はしんと静まっていたのだが、玄関が開いているのに気付いた。


「おい、玄関開いてるぞ!」


 陸はそう云うと、すぐさま玄関に近づいた。

 掛け金が外れており、生暖かい風に揺らされた引き戸はガタンガタンと音を立てていた。

 玄関を閉めると、春樹が云った。


「とにかく皆を起こそう!」

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