魔念村殺人事件
すると、瑞穂が絞りだすような声を出した。
「沼……底なし沼……そんな……まさか」
「あの沼に近づく者は一人もいなかった……。近づくと災いが起こるって云われてたから」
春樹は驚愕しながら、やっとの思いで説明した。
やっぱり……そこだ! 美紀ちゃんは今でもそこにいる。
「行きましょう。美紀ちゃんのところへ」
陸は立ち上がるとそう云ってお茶の間を飛び出した。
一瞬遅れてから春樹達も立ち上がり、俺を追いかけてきている足音が聞こえていた。
黒田家から祠まではすぐ近くだった。そして祠の後ろの林に入り、そこを抜けると灰色に近いような色の沼がある。降り続いた雨のせいで今にも溢れそうだったが、陸は沼の一点で視線が止まった――。
それはどう見ても人骨だったのである。この雨のせいで浮いてきたのか、元々浮いていたのか、美紀を想う人達の気持ちが届いたからなのか、それは分からない。しかし人骨はバラバラになっていたはずだろうに、まるで吸い寄せられるように寄せ集まり、それは人型に見えたのである。不思議な光景だった。
「沼……底なし沼……そんな……まさか」
「あの沼に近づく者は一人もいなかった……。近づくと災いが起こるって云われてたから」
春樹は驚愕しながら、やっとの思いで説明した。
やっぱり……そこだ! 美紀ちゃんは今でもそこにいる。
「行きましょう。美紀ちゃんのところへ」
陸は立ち上がるとそう云ってお茶の間を飛び出した。
一瞬遅れてから春樹達も立ち上がり、俺を追いかけてきている足音が聞こえていた。
黒田家から祠まではすぐ近くだった。そして祠の後ろの林に入り、そこを抜けると灰色に近いような色の沼がある。降り続いた雨のせいで今にも溢れそうだったが、陸は沼の一点で視線が止まった――。
それはどう見ても人骨だったのである。この雨のせいで浮いてきたのか、元々浮いていたのか、美紀を想う人達の気持ちが届いたからなのか、それは分からない。しかし人骨はバラバラになっていたはずだろうに、まるで吸い寄せられるように寄せ集まり、それは人型に見えたのである。不思議な光景だった。