魔念村殺人事件
　陸の後ろから、ようやく春樹達が到着し、息を切らしていた。


「み、美紀？　美紀なのか？」


　春樹は変わり果てた美紀を見て、一瞬凍りついたのち、悲しそうな表情に変わり、沼に入って行こうとした。それを陸が必死に止めると、子供のように美紀の名を呼び、泣きじゃくったのである。

　章吾は膝から崩れ落ち、瑞穂と正信も声を上げ泣いていた。

　陸はいたたまれなくなり、沼に浮かぶ美紀や春樹達から視線を逸らした。

　あれほど降り続いていた雨はいつの間にか止み、雲の隙間から光が漏れ、その光は沼に浮かぶ美紀に降り注いでいる。

　それに気付いた春樹達は呆然と、その光景を眺めていた。


「美紀ちゃんは復讐なんて望んでなかったんですよ。彼女は誰よりも優しく、美しかったのでしょう？　皆に見つけてもらいたかったから、ずっとここで待っていたんだと思います」


　陸はそう云って後ろを振り返ると、一人の人物を真っ直ぐ見据えた――。

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