魔念村殺人事件
「は、はい。その通りです」
「正信君は美紀ちゃんにそう云われて振られたことを、鈴音ちゃんに話したんじゃないかな?」
「そ、そうです。もう村には章吾兄もいませんでしたから、誰かに話しを聞いて欲しくて。真優にはそんなこと話せませんから、鈴音にしか話せなくて俺は……」
やっぱりそうか。
陸は正信の答えを聞き、深く頷くと春樹達を見渡し再び話し始めた。
「鈴音ちゃんは、そこで美紀ちゃんに対する憎しみが溢れてしまったんでしょう。美紀ちゃんを呼び出した鈴音ちゃんが何を云ったのかは想像ですが、おそらく春樹のいる東京に行くのを反対したのかもしれません。それでも美紀ちゃんは意志を変えなかった。だから鈴音ちゃんは美紀ちゃんを引っ叩いたのでしょう。
そして花摘みの日、正信君が夢中で花を摘んでいる時に、鈴音ちゃんは少し離れた場所で美紀ちゃんを祠の裏にある沼に呼び出した。真優ちゃんは心配で後ろから着いて行ったのかもしれません。そこで話している間に、鈴音ちゃんの美紀ちゃんに対する憎しみが殺意に変わってしまったのでしょう。鈴音ちゃんが美紀ちゃんを沼に落とすところを見た真優ちゃんは、鈴音ちゃんに口止めされた。けれどもケムンドウからの手紙に動揺した真優ちゃんは耐え切れず、本当のことを話そうとしたのでしょうね。しかし、そこでも鈴音ちゃんに睨まれ結局云えなかった。鈴音ちゃん自身も、真優ちゃんが殺されたことで相当の動揺を見せた。次に殺されるのは私かもしれないだの、美紀に殺されるだのと云いだしたのです。鈴音ちゃんに『最後に見た美紀ちゃんの顔覚えている?』という質問をした私に対し、あれほどまでに怒りを見せたのも今なら頷けます。何故なら、最後に見た美紀ちゃんの顔とは、殺した時のことを示すわけですから。そして『きっと石川さんは知っているのよ』と云ったこと。おそらく彼女は、自分が美紀ちゃんを殺したことを私に気付かれたと勘違いしたのだと思います。
そして章吾さんが聞いた鈴音ちゃんの『ごめんね』という言葉は、美紀ちゃんに対して云ったのでしょう。もしかしたら鈴音ちゃんは、美紀ちゃんを殺した後も嫉妬しながら、後悔の念を持ち続けていたのかもしれませんね」
「正信君は美紀ちゃんにそう云われて振られたことを、鈴音ちゃんに話したんじゃないかな?」
「そ、そうです。もう村には章吾兄もいませんでしたから、誰かに話しを聞いて欲しくて。真優にはそんなこと話せませんから、鈴音にしか話せなくて俺は……」
やっぱりそうか。
陸は正信の答えを聞き、深く頷くと春樹達を見渡し再び話し始めた。
「鈴音ちゃんは、そこで美紀ちゃんに対する憎しみが溢れてしまったんでしょう。美紀ちゃんを呼び出した鈴音ちゃんが何を云ったのかは想像ですが、おそらく春樹のいる東京に行くのを反対したのかもしれません。それでも美紀ちゃんは意志を変えなかった。だから鈴音ちゃんは美紀ちゃんを引っ叩いたのでしょう。
そして花摘みの日、正信君が夢中で花を摘んでいる時に、鈴音ちゃんは少し離れた場所で美紀ちゃんを祠の裏にある沼に呼び出した。真優ちゃんは心配で後ろから着いて行ったのかもしれません。そこで話している間に、鈴音ちゃんの美紀ちゃんに対する憎しみが殺意に変わってしまったのでしょう。鈴音ちゃんが美紀ちゃんを沼に落とすところを見た真優ちゃんは、鈴音ちゃんに口止めされた。けれどもケムンドウからの手紙に動揺した真優ちゃんは耐え切れず、本当のことを話そうとしたのでしょうね。しかし、そこでも鈴音ちゃんに睨まれ結局云えなかった。鈴音ちゃん自身も、真優ちゃんが殺されたことで相当の動揺を見せた。次に殺されるのは私かもしれないだの、美紀に殺されるだのと云いだしたのです。鈴音ちゃんに『最後に見た美紀ちゃんの顔覚えている?』という質問をした私に対し、あれほどまでに怒りを見せたのも今なら頷けます。何故なら、最後に見た美紀ちゃんの顔とは、殺した時のことを示すわけですから。そして『きっと石川さんは知っているのよ』と云ったこと。おそらく彼女は、自分が美紀ちゃんを殺したことを私に気付かれたと勘違いしたのだと思います。
そして章吾さんが聞いた鈴音ちゃんの『ごめんね』という言葉は、美紀ちゃんに対して云ったのでしょう。もしかしたら鈴音ちゃんは、美紀ちゃんを殺した後も嫉妬しながら、後悔の念を持ち続けていたのかもしれませんね」