魔念村殺人事件
「なぁ陸、お前には警察から知らせがあったんじゃないか? 美紀と瑞穂の……」


 遺体がどうなったか気になっているのだろう。

 確かに昨日警察から連絡がきたばかりなのである。


「ああ、実はな、沼の表面に自然と浮いてきたんだそうだ。不思議なことに美紀ちゃんの骨を抱えるようにしている瑞穂さんが……。今警察では解剖しているらしい。それでな……、瑞穂さんの自宅には、わらべ唄の三番が書かれた紙が置いてあったそうだ」


 きっと瑞穂は最初から、復讐を遂げた後に自分も死ぬつもりでいたのだろう。

 春樹は頷き、何かを思い出しているようだった。


「ビールでも飲むか?」


 そんな陸に驚き、春樹は顔を上げた。


「昼間から? 陸はいつもそうしてるのか?」


「違うよ。今日は春樹の就職祝いだからな」


 陸は笑顔を向けるとビールを取りに冷蔵庫に向かった。

 冷蔵庫からビールを二本取り出し、一本春樹に手渡そうとした時、春樹は下を向き泣いていたのである。


「俺、陸がいて良かったよ。もしお前がいなかったら、引きこもっていたかもしれない」


「大げさだなぁ。これからは引きこもる暇なんてないぞ。ほら、乾杯しよう」


 陸がビールのプルタブを開けると、春樹もようやく顔を上げ、ビールのプルタブを開けた。

 こうして二人は乾杯し「探偵社RIKU」に新しく春樹が加わったのである。





 それから一ヵ月後、某県での新たな事件に巻き込まれるとは、今の二人には気付くはずもなかった。しかしそれはまた別のお話し。 

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