魔念村殺人事件

「この人は、俺の大学時代の友人で、石川陸さんだよ。探偵をしているんだ」


「始めまして。私は堀井鈴音です。探偵さんだなんてすごいわ。私、本物見たの始めて」


　鈴音は目を輝かせ、陸の顔をまじまじと見た。そんな彼女は雑誌から抜け出てきたような服装をしており、若者向けのショップ店員と一目で分かる。

　陸は多少照れたが、一度咳払いをしてから自己紹介をした。


「始めまして。石川陸です。今日は春樹に着いてきました。宜しくお願いします」


「陸、随分かしこまってるな」


　きちんと挨拶をした陸の姿を見て、春樹は笑った。


「さぁ、どうぞどうぞ」


　ニコニコしながら鈴音が中に入るよう促したので、陸と春樹は靴を脱ごうとしたのだが、鈴音に止められた。


「靴のままでいいと思うよ。中は埃だらけだし、皆靴のまま入ったから」