魔念村殺人事件
「た、探偵? 春樹に探偵の知り合いなんていたのか?」


 男は黒縁の眼鏡に右手を掛け、よく見ようとする仕草をした。


「俺の大学時代の友人で石川陸さんだ。鈴音が云った通り正真正銘、本物の探偵だよ」


 春樹にそう紹介されて、陸は少し緊張しながら自己紹介をした。


「始めまして。石川陸と申します。宜しくお願い致します」


「おいおい、転校生みたいな挨拶だな」


 春樹が小声で陸に笑いかけた。


「仕方ないだろ、俺だって緊張するんだよ」


 陸は思わず口を尖らせた。

 すると、今度は黒縁眼鏡の男が自己紹介した。


「申し遅れました、私は堀井章吾です」

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