魔念村殺人事件
「陸はその屋敷に呼ばれた一人でもあったのさ」


「えーーーーっ！　じゃその時の名探偵って石川さんだったんだ。すごい本物だよ」


　クリームパンをテーブルに置き、一オクターブ声も高くなった鈴音は陸をじっと見つめた。

　その視線に恥ずかしくなった陸は、メロンパンを食べる手を止めた。


「石川さん、すごい人なんですね。春樹、お前と同じ大学出て、何でお前は探偵じゃないんだ」


　章吾が悪戯っぽい表情で春樹に云うと、鈴音がすかさず兄である章吾を睨んだ。


「お兄ちゃん、春樹は探偵じゃないけれど、お兄ちゃんよりイケメンなんだから」


　そして鈴音は再びクリームパンを手に取り食べ始めた。その横顔は少し頬が赤く、もしかしたら春樹に好意を持っているのではないかと俺は予想した。

　すると春樹は、届いたケムンドウからの手紙について話し始めた。

< 44 / 151 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop