魔念村殺人事件
 どうやら彼らの証言に相違はないな。美紀は一体どこへ行ったのだろう。

 ふと腕時計を見ると午後六時を過ぎていた。

 そんな陸の仕草に気付いた春樹が、窓の外に視線を移すと困った顔を見せた。


「まだ、雨止みそうにないな。どうする? 七時になる前にはそれぞれ家に向かわなければ」


「午後七時過ぎるとどうなるんだ?」


 陸は首を傾げた。


「雨の日、午後七時を過ぎて、お守りがぶら下がっていない場所にはいられないんだよ。陸にとってはそんなの迷信だと一笑するところかもしれないがな」


 春樹は腕を広げて肩を竦めてみせると、章吾が立ち上がった。


「話しは明日、明るくなってからしよう。皆、雨だから車でそれぞれ家に向かうか」


「皆さんの住んでた家は遠いんですか?」


 陸の質問に答えたのは瑞穂だった。


「遠くないわ。歩いてもそんなにかからないし。でも雨で傘もないし濡れちゃうから。幸い皆の家は近くだから」


 瑞穂は微笑むと立ち上がり、テーブルに皆が投げ出したゴミをビニール袋に入れ、片付け始めた。
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