魔念村殺人事件
「それは俺が村を出てからの話しだから分からないな。正信が真優を振った話しは、章吾が正信と酒飲んでいる時に本人が云ってたらしいんだ。章吾と正信は同じS県で近所に住んでいるから、よく会っているらしいし」


「章吾さんは美紀ちゃんに告白しなかったの?」


「章吾は美紀が俺と付き合い始めてから諦めたって云ってた。もちろん村を離れてから聞いた話しだけれど。今は同じS県内で彼女が出来て付き合っているよ。結婚するつもりだって、この前云ってたから」


 それにしても今まで話しを聞いてて、複雑な人間関係だなと思う。

 もしかして、瑞穂も春樹のことが好きって可能性はないか。そんなふうに想像すると、陸はすぐさま
春樹に訊いた。


「じゃあ、瑞穂さんも春樹に告白したのか?」


 春樹は驚いた顔をして手を横に振ると、それを否定した。


「何だよ急に、されてないよ。瑞穂は東京で彼氏いるみたいだし、村にいる時は先生が好きだったって、何ヶ月か前に飲んだ時云ってたよ。瑞穂は年上好みらしいし」


「そうか。ここまで複雑な人間関係だと、仲が悪くなったりするものじゃないかと思うけれど、春樹達はそうでもなさそうだな」

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