魔念村殺人事件
「もちろん。何だかんだ云っても、魔念村で兄弟みたいに育ったからな。これが都会のクラスメートだったら話しは違っていたかもしれないが」


 陸と春樹は夜も更け、相当長い時間話し込んでいた。春樹は腕時計を見ると立ち上がった。


「そろそろ寝ようぜ。もう十二時過ぎてる」


「もうそんな時間か。暑くて寝れなそうだよ」


 春樹は笑いながら、布団を敷き始めた。

 春樹の部屋だった空間に、二つの布団を並べると、陸と春樹はカビ臭い布団に横になった。


「やっぱりカビ臭いな。寝れるか陸?」


「カビ臭いよりも、俺は暑い」


「そうか。お前本当暑がりだな。明日、美紀のこと何か分かるといいんだけれど」


「そうだな。手紙の差出人のことだけど、春樹もケムンドウから来た手紙だと信じているか?」


「いや、俺はそこまで迷信深くないな。消印が『山岸商店』の近くだったし、本当にケムンドウが出した手紙ならば、魔念村の消印なんじゃないか。最も魔念村にもう郵便局はないし、ポストは撤去されているが……」

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