魔念村殺人事件
 どうにか公民館の中に三人を連れ、昨日入った部屋と同じ、奥の右側の部屋に入った。

 すると、陸の目に飛び込んできたのは、テーブルの上にある白い封筒だったのである。

 昨日置いてあった封筒は章吾が読んだ後、ポケットに入れていたから、これはまさか……。

 
 キャーーー!


 鈴音もテーブルの上にある封筒に気付いたらしかった。悲鳴を上げると頭を抱え込み、遅れて封筒に気付いた瑞穂と正信も、小刻みに身体を震わせているのが見えた。

 陸はテーブルの上から封筒を取り上げると、何やら文字が書いてあった。

『五人全員揃ったら読んで下さい ケムンドウ』

 またケムンドウか……。五人? 確か昨日の手紙には、六人全員揃ったらと書いてあったんだ。真優が殺され、人数が一人減ったことを知っているというのか? やはりケムンドウの名を騙った人物が犯人だというのは間違いない。おそらく犯人は魔念村出身者だろう。ガジュマルの木がこの村で一番大きいことを知りえるのも、土地勘があるのも魔念村出身者しかいない。
 
 やがて春樹と章吾がびしょ濡れで戻ってくると、俺は、手に持っていた封筒を彼らに見せた。

 すると驚愕している様子で春樹は俺に訊いた。


「陸、それどこにあった?」


「ここのテーブルの上だよ。どうやら、この手紙の主が真優ちゃんを殺した犯人だろう」

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