魔念村殺人事件
 全員が陸の言葉を聞き、息を呑む。

 そして正信が叫び出した。


「ケムンドウだよ。真優はケムンドウに殺されたんだ」


 そこで陸は正信を落ち着かせようと椅子に座らせ、それから説明を始めた。


「これはケムンドウの仕業ではありません。ケムンドウの名を騙った、生きている生身の人間の仕業でしょう。ケムンドウが『山岸商店』の近くから手紙を出すわけはありません。それに、ケムンドウがプリンターか何かで印刷するでしょうか? 私はケムンドウという魔物はよく知りませんが、人間ならぬ者が、そんな電子機器を使うとは考えにくい」


 陸は封筒の印刷されている文字を皆に見えるように高く挙げた。

 すると、瑞穂は搾り出すような悲痛な声で云った。


「じゃあ、一体誰が真優を……」


「それはまだ分かりません。しかし彼女に恨みを持つ人物の、心当たりなどありませんか?」

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