魔念村殺人事件
 無言で頷いた陸に、春樹は更に話を続けた。


「あの時、美紀がいなくなった状況を説明したのは鈴音だったからな。真優は何を云おうとしていたんだろう。それにどうして鈴音はそれを邪魔したのか……」


「そうなんだよ。だからこうして、一人一人に話しを訊こうと思ったんだ。春樹にも云い辛くて」


 陸は申し訳なさそうな顔をしたが、春樹は気を悪くしたふうではなかった。


「あいつらは俺の家族みたいなものだからな。陸が云い辛くなるのも分かるよ。じゃ次は鈴音を呼んでくるよ」


 春樹はそう云うと車のドアを開け、小走りに公民館に入っていった。

 真優は何を云おうとしていたのだろう。彼女に恨みを持つ者がいないのだとして、彼女の死と、美紀の失踪に、何か繋がりがあるように思えてならない。これは勘だが。

 ふいに車の窓をノックされた。

 反射的に後部座席から窓の外を見ると、鈴音が雨に打たれ立っていたので、陸は慌ててドアを開け外へ出た。

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