魔念村殺人事件
 ブーッブーッ! クイズ番組で、答えが外れた時に発するような音が鳴った。チャイムの音である。

 陸はソファから立ち上がると、探偵社のドアを開けた。

 そこにはグレイのスーツを着こなし、きちんとネクタイを締めた春樹の姿があった。春樹は陸と同じくらいの身長で、百八十センチくらいはある。そして体型は痩せ型でもなく、太っているわけでもない。そして春樹の髪形は短髪で染めてはいない。


「おう、久しぶりだな春樹。すっかりサラリーマンらしくなって」


「陸は相変わらずだな。ちっとも変わってない」


「そうか。少し髪伸ばして、ゆるくパーマかけたんだけどな。まぁいい、入れよ」


 陸が室内に手招きすると、春樹は辺りを見渡しながら入った。


「随分殺風景な部屋だな。でも、ここで陸は数々の難事件を解決しているのかぁ」


 春樹がしみじみとそう云うので、陸は照れてしまい、顔が熱くなるのが分かった。

 実際、そんな難事件ばかりに遭遇しているわけじゃないんだけどなぁ。でもまあいいか、敢えて否定するのも格好悪いしな。
< 8 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop