魔念村殺人事件
「もしかして、真優ちゃんに着せられていた黒いマント?」


「は、はい。あれはこの村で祭りの時に村の者全員が着るマントです。だからやっぱり、ケムンドウが……」


 祭りに着るマントか。それならば誰でも持っている物だということだろう。しかし、正信はそのマントを真優に着せ、殺したのもケムンドウの仕業だと云いたいのだろうか。マントも胸に刺さっていたお守りも、どこかの家から持ち出した物かもしれないな。全ての家を調べる必要もありそうだ。


「正信君、昨夜のことだけれど、詳しく話して貰えるかな?」


「えっと、昨夜は久しぶりに再会したことで、瑞穂姉ちゃんと真優とお茶の間で昔の話しから色々と話し込んでいました。でも真優は何だか元気がなかったように思います。その時は、ケムンドウからの手紙で無理もないなと思うくらいでしたが……。それで眠くなってきたので、俺達はそれぞれ部屋に行きました。瑞穂姉ちゃんは玄関から入って左側の手前、真優が右側の手前、その隣りが俺、というふうに別れて部屋に入りました。
 暑かったせいか分からないですけど、妙に喉が渇いて、頭痛もしていたので、俺は朝目が覚めるとすぐお茶の間に向かいました。まだ誰も起きてなくて、すぐに新しいペットボトルの水を開け、飲んでいたんです。すると、瑞穂姉ちゃんが起きてきて、しばらく話していました。でも真優がなかなか起きてこないので、俺が起こしに行きました。でも真優がいなくて……。心配になってその後、瑞穂姉ちゃんと一緒に家中探したけれど、どこにもいなかったんです。それで堀井家に向かいました」

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