魔念村殺人事件
そこで章吾は大きな溜息を吐いた。他にはどんな内容の喧嘩をしたのか気になった陸はすぐに質問した。
「その喧嘩の内容を詳しく訊かせて貰えますか?」
「ええ。兄である俺も鈴音の好きな春樹も、最年少の正信も、皆が美紀を好きだったということが、鈴音には昔から耐え難いようでした。そして美紀がいなくなった今でも、皆が美紀を心配することに嫉妬しているのでしょう。ケムンドウの手紙に美紀の名前があった話しから、俺が美紀に生きていて欲しいというふうに云った途端、怒ったのです。もちろん鈴音だって美紀に生きていて欲しいと思っているはずですが、行方不明になって十年くらい経ちますから。結婚を控えている俺に、今の彼女のことだけを考えろと云いました。もちろんその通りでしょうけれど」
章吾はそこまで話すと車の窓から外を眺めた。
鈴音は美紀に生きていて欲しくないのかもしれない。むしろ美紀がいないことを望んでいるような気がする。さっきの取り乱しよう……それにあの目は、美紀に対する憎悪が含まれていた。
「その喧嘩の内容を詳しく訊かせて貰えますか?」
「ええ。兄である俺も鈴音の好きな春樹も、最年少の正信も、皆が美紀を好きだったということが、鈴音には昔から耐え難いようでした。そして美紀がいなくなった今でも、皆が美紀を心配することに嫉妬しているのでしょう。ケムンドウの手紙に美紀の名前があった話しから、俺が美紀に生きていて欲しいというふうに云った途端、怒ったのです。もちろん鈴音だって美紀に生きていて欲しいと思っているはずですが、行方不明になって十年くらい経ちますから。結婚を控えている俺に、今の彼女のことだけを考えろと云いました。もちろんその通りでしょうけれど」
章吾はそこまで話すと車の窓から外を眺めた。
鈴音は美紀に生きていて欲しくないのかもしれない。むしろ美紀がいないことを望んでいるような気がする。さっきの取り乱しよう……それにあの目は、美紀に対する憎悪が含まれていた。