魔念村殺人事件
「鈴音ちゃんと真優ちゃんの関係はどうでしたか?」


「もしかして石川さん、鈴音を疑っているんですか!」


 章吾が身体ごと俺に近づくと声を荒げた。


「いえいえ、そうではありません。参考までにお訊きしただけですから。落ち着いて下さい」


 陸が極力穏やかに云ったからだろう。章吾は座席に座り直し、落ち着いたようだった。


「鈴音は真優を妹のように思っていたと思います。真優も鈴音の云うことを素直に効く子でしたし」


 確かに、俺から見てもそれは分かった。

 それならば、美紀のことで何かを知っていた真優に鈴音が口止めすれば、絶対に誰にも云うことはないのだろう。


「そうですか。じゃ、公民館に戻りましょうか」


 こうして五人に話しを訊いた陸は、思考を動かしながら章吾と共に車を出たけれども、雨が止む気配など微塵もなく、公民館に入って行く二人の後ろで雨音だけが響いていた。


< 88 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop