魔念村殺人事件
 確かに、縁起も悪いだろうな。少なくともケムンドウを恐れている者もいるだろうし。

 考えあぐねていると、瑞穂が提案した。


「黒田家、私の家に皆で泊まったらどうかしら? 部屋数はあるし、玄関も一応は掛け金だけど使えるわ」


 確か瑞穂の家は一番広いんだった。


「すみません、では泊まらせて下さい」


「そうだな。瑞穂の家が一番広いし、俺の家や他の家じゃ狭いからな」


 春樹の言葉を聞いて、陸は疑問に思ったことを瑞穂に訊いた。


「瑞穂さん、どうして他の人の家より黒田家は広いんですか?」


 すると瑞穂は少し微笑みを見せた。


「黒田家は代々、村長をしてきたの。だから昔から少しだけ家が大きいのよ。何だか変でしょ」


「成程。不思議だったんですよ。他の家は皆同じくらいの大きさで、間取りも似ていたから」


 陸は納得し頷いた。  

 その時、正信がくしゃみをしたので、顔を見ると赤くなっており、ぼーっとしているようだった。
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