pure
メニューにない


実は店員さんに頼み込んで


つくってもらった


トマトの盛り合わせを食べながら


美姫が言った。


彼女はイレギュラーのメニューを


注文するのが得意だ。


「二人がそういうのなら


いつか 告ってみるよ。


そのうちにね。」




だいたい既婚の友だちに向かって


告白をお薦めしないでしょう?


「気持ちはわかるけど・・・」


ぐらいのこと言うでしょう?



だけど、常識を押し付けない


二人の考え方が嬉しかった。


自分が少しおかしいのは


私自身が一番良くわかっていた。


もしかしたら・・・


いや完全に美姫とシオンの感覚は


世間さまの当たり前から


外れている。


でも、人が私の中にある


「トキメキ」を認めてくれたことで


私もこの気持ちを大切にしようと


思えた。



そう、だって心は自由なのだから・・・





「ねえ、愛子見たことないよね。



シオンのかっこいいタトゥー」



赤いルビー色のカクテルを飲みながら


美姫がいった。


「ない。見せて!!」


「いいっすよ。」


そう言うと


シオンは羽織っていた


白いパーカーを脱いだ。





左肩からひじにかけて


鮮やかなゾウのタトゥーがあった。






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