御曹司が恋したお姫様!?㊤
「おとうさん………?」
リビングを見て、幼いあたしは絶句した。
…いや、今のあたしでも言葉が出なかったと思う。
お父さんのお腹にナイフらしきものが刺さっていて、紅い血が滲んでいた。
傍らにいるのは、周りの洗濯物とカモフラージュするようにバスタオルに包まれた、泣き続ける梨華だった。
言葉が出なくて、状況を理解していながらも理解したくないと必死に思っていた。
この現実を、信じたくないと………。
「ただいまー」