御曹司が恋したお姫様!?㊤



「…泣くな」



潤はそう言って、泣いているあたしを抱きしめた。



「だって………」

「辛いのは解る。
オレだって、昔はずっと泣いてた。
でも、ずっと泣いてらんねぇんだよ」

「あたしだって、このことで泣いたのなんて何年ぶりか分からないよ………」

「…ごめん。
オレのせいで思い出させて………」



潤の腕に抱かれながら見上げた潤の表情は切なくて、儚げで、憂いを帯びた、そんな表情だった。


…いつもの自信に満ちた表情の方が潤には似合うと思った。



< 277 / 423 >

この作品をシェア

pagetop