恋をした
小さな春
なんでもない朝。
4月の少し肌寒い風が私の頬をかすめた。
桐野未幸(とうの みゆき)
15歳。
今年高校生になったばかりの、普通の・・・本当にとりえもない女子。
特別かわいいわけでもないし、スタイルがいいわけでもない。
本当に、一般人すぎるほどの一般人なのだ。
そんな、私が最近高校生になった。
新しい環境にもなれてきたし、友達もできた。
高校生活は充実してると思う・・・。
「みっゆきぃぃいいー!!!」
こいつさえいなければ・・・・。
「よ~っす、未幸♪」
「おはよ・・・朝からテンション高いね・・・」
私に向かって一直線に飛んできたこの人の名前は、
荒巻隆矢(あらまき たかや)
通商:バカ矢。
「おう、テンション高いことはいいことだ。
てかー、俺がこんなアピールしてんのに、未幸はなんでそんなテンション低いのさー?」
隆矢は、あたしの首に腕をまわしガンガン振り回す。
こ、コイツめ・・・。
今日も懲りずに私を振り回す気か・・・。
ガシッと、
隆矢が肩に組んできた腕を勢いよくふりっ払った。
そして、お決まりの一言。
「なんで、テンション低いかって?
あんたが毎日、毎日、毎っっっ日、
あたしの周りをうろちょろするからでしょうが!!!」
かなり、ドスのきいた声で言うものの、
このバカには届かず・・・
「うひー、おっかねぇな。
ほらほら、せっかくセットした髪が台無しよ♪」
の隆矢の一言で、私が負ける。
しかもこれは毎日行われる、今や朝の恒例となっているのだ。
まったく、
隆矢もよく毎日飽きないよねぇ。
こっちは、あんたのせいで毎朝体力削られてるっていうのに。
「ほらー未幸、早く来いよ。遅刻すっぞー」
はぁ・・・。
「はいはい、行きますよ~」
でも、やっぱり本気で怒れないのは隆矢が
唯一の「幼馴染」だからかもしれない。
小さいころから、隣にいる隆矢だから心のどこかで許してる。
まぁ、隆矢は本当はすごく優しくて
いい奴なんだけどね。
それはムカつくから言ってやらない。