いちごみるく




南は頷いた私を見て




「それとも

このままサボる?」
と笑顔で聞く




南は私が
何をしたいのか


いつも分かってくれる







なのに
一番肝心な事には
気付いてくれない








「南のバカ」






「何でだよ!!!」





急な私のバカに
南は不満そうに言う



「そういうとこが
バカなんだよ」
って返すと





「意味わかんねぇ

俺のどこがバカなんだよ!」と言い返される










南は私と言い合いをしながら


2人でエントランスを出る










こうやって2人で
ここを歩くのは
そう言えば久しぶりだなぁ…











何だか



懐かしくて
嬉しくて
くすぐったい気持ちになる












南は
自転車にまたがると
私が後ろに乗るのを待つ









彼女さんの場所に
なった今



まだここに
私がのってもいいのか



少し戸惑って
自転車の前で立ちすくむ





南は
「何してんの

早く乗りなよ」
って不思議そうに言う
















私は
慌てて自転車の後ろに乗る






「みぃー

俺の彼女に遠慮してんの?」







「え?」






「だって前は
自転車の後ろに乗るとき



腰に手まわしてたでしょ


つかまんないと落ちるよ?」





「…そうだっけ」





「うん


遠慮しなくていいから








菜穂そういうの気にする
奴じゃないから」










彼女さん菜穂って言うんだ




名前で呼んでるんだ…







当たり前の事だけど

分かっていた事だけど
胸がずきずきする




< 21 / 28 >

この作品をシェア

pagetop