いちごみるく
私は南の腰に手をまわして
南の背中にほっぺたをつける
夢じゃないんだなぁって
実感すると
嬉しくて
切なくなる
南は満足そうに笑うと
自転車の速度を上げる
春の暖かいそよ風が
体に当たって気持ちいい
「南―」
「ん?」
と南が振り向いて
自転車が少し揺れる
「後ろ向かなくていいから!!!」
「ごめん
つい」
南は前を向いて
何故か楽しそうに謝る
全然反省する
気配がない
「で?」
「…なんで
私を助けてくれるの?」
「みぃーは
俺にとって妹だから」
“妹”
何度も聞いてきた言葉
その言葉に
私は
また苦しくなって
息が出来なくなる
胸が痛い
南は私をほっといてくれない
突き放してもくれない
そのくせ
最後には必ずこう言う
「みぃーは妹だから」
その度に期待して
バカだったなと思う
子供扱いされて
悔しいとも思う
いつまで妹なのか
それとも、
私は南にとって
ずっと妹のままなのか
不安になって
苦しくなって
南を“好き”でいる事を
諦めたくなって
投げ出したくなる