イタズラ

デート

今日から冬休みに入った。
昨日の事が夢だったんじゃないかとふと思い、なにげなく唇に触れる。
暖かかった。
もしも夢だったら・・・。そんなことを思いながら萌に電話をした。

「もしもし、萌？寝てた？？」
『起きてたよ～。ねーねー！！！それより智くん、どうだった？』

「どうって・・・？」
『気に入った？？』

「うんとねぇ・・・・キスされた」
『ええええ～～～～～～～～っっ！！！！！！！！』

朝からでも恋の話なら盛り上がれるのだ。
そして、今日、デートの約束をしたことを萌にも伝えて、電話を切った。

夢じゃなかった。夢じゃなかった。夢じゃなかった～！！！！！！！

ベットから飛び起きて、急いでシャワーを浴びて準備をする。
昨日は制服だったから、今日は智の私服が見れる。
ウキウキしながら何を着ればいいのか悩んで、悩んで急いで家を飛び出した。

待ち合わせは駅のホーム。
時間より１５分も早くついてしまったあたしは、本当に智がくるのか不安で仕方なかった。
駅のイスに腰掛けて、昨日の事を考えていた。
出会った瞬間の智の照れた顔や、マフラーのこと、
キスのこと・・・考えただけで顔が熱くなる。
両手で頬をおさまえて大きく息を吐き出す。

落ち着け～あたし。落ち着くんだ、あたし。
そう心の中で唱えた。

『幸？』

呼ばれて、あわててイスから立ち上がった。
そこには智が居て、制服よりも、もっともっと爽やかで、
明るいところで見る顔は、昨日よりもズットズットかっこよかった。

「本当に来ると思わなかったよ」
『なんで？約束破ると思った？』
「そうじゃなくて、、、何だろう。昨日の事が夢みたいだったから」
『夢じゃないよ、それに約束は絶対守るのがオレのモットーだからさ』

そう言って２人は笑った。そして滑り込むように快速の電車が来た。
それに乗り込み、あたしたちのデートが始まったのだ。