イタズラ
まだ出会ってから2日しかたっていないのに、
今日1日で、智のいろんな事がわかった。

智は陸上部だということ。
智は写真が好きなこと。
智のお母さんは美容師さんだということ。
智の食べ物のの好みと、飲み物の好みは あたしとほとんど同じだという事。

そして今日、1日のなかで あたしが本当に嬉しかった事は、
夕方になってキレイな海が見える場所で、
あたしたちは小さな橋の上で、智の腕があたしの肩をあたためてくれて
そこで智が言った言葉。

『あのさ・・・
 昨日初めて会って、一瞬で幸のことスキだって思った。
 今までそんなことなかったし、一目ぼれとかそんなのはないと思ってた・・・
 でも、オレ、幸のこと好きだから・・・
 もっと知りたい。
 ごめん・・・うまくいえなくて』

うまい言葉とか、下手な言葉とかそんなことはどうでもよくて
あたしと智の気持ちがピッタリ同じだったんだって事が本当に嬉しかった。

「運命」とか「奇跡」とか あたしは信じちゃう人だから、
この出会いはキットすごい奇跡で、絶対運命なんだって思えた。

「あたしも・・・智のこと好きだよ」

そして、あたしたちは2度目のキスをした。
智の体にぎゅっと腕をまわして、もっと近くにいきたいと願った。

夕日があたしたちを包み込んで、
昨日と同じ、優しくて、暖かいキス。本当に幸せなキス。

何度も何度もキスをして、お互いの心の声を聞いているようだった。
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