【続】恋の坂道発進―2010年ホワイトデー短編―
出会い
―教習所―
女は“先生”に弱い。
それを常に頭に置いて、俺は仕事をしている。
塩崎憲司26歳。
自動車教習所で指導員をしている俺は、働いてから学生時代の3倍くらいモテるようになった。
それは、俺自身じゃなく……
俺が“先生”だから。
中学の頃、俺が好きだった女の子が、担任教師を好きになった。
高校の頃は、バスケ部顧問の先生が人気者だった。
女は“先生”に弱いだけ。
俺だってそうだ。
俺が先生でなかったら。
誰も見向きはしない。