【続】恋の坂道発進―2010年ホワイトデー短編―
「かわいいとこあんじゃん」
「ふふ。私、かわいいでしょ?」
「嘘だよ。お前はすぐに調子に乗るから」
芸能人ごっこが楽しいみたいだ。
わざとらしく、周りを気にしながら、俺の部屋に入る。
こんな予定じゃなかったから、ありえないほど散らかっていると思う。
俺の部屋。
「汚いけど」
「汚い方が好き」
「なんで?」
「私、掃除好きだから」
かわいいことを言うなずなを、本当は抱きしめたいけど、それは卒業してから。