【続】恋の坂道発進―2010年ホワイトデー短編―
「わ~!汚い汚い」
脱ぎっぱなしのパジャマ。
朝食のパンの袋が床に落ちている。
「喜ぶな!」
想像する。
ばかだな、俺。
完全になずなワールドに引きずり込まれている。
「片付けがいがありそうだな~!!よぉし!」
腕まくりをしたなずなが、俺の汚いパジャマをたたもうとする。
かわいいことすんじゃねーよ。
我慢できなくなるだろーが!
「いいから、そこ座れ!」
「座る場所なんてないじゃん。ふふふ」
「おい、それはないだろう」
「汚いけど、不潔じゃないからいい部屋だね」
汚いけど不潔じゃない?
どこを見てそう思ったのかわからないけど、俺はちょっと嬉しかった。