【続】恋の坂道発進―2010年ホワイトデー短編―
今日、どこかで渡せたらいいなと思って、鞄に忍ばせていたホワイトデーのお返し。
「これ、ホワイトデーのお返し」
無造作にテーブルの上に置く。
何照れてるんだ、俺は。
「くれるの?ホワイトデーは誰にもあげないって言ってたのに」
「本命には返すに決まってるだろうが」
本命なんて言ってしまった。
本当のことだから仕方がない。
俺は、なずなのことが好きだ。
多分、かなり好きだと思う。
「開けていい?」
「もう開けてるじゃん」
丁寧に包装紙を外す。