【続】恋の坂道発進―2010年ホワイトデー短編―
ロビーで会った数人の子に、お返しちょうだいと言われた。
一人に返すと全員に返さなければいけない。
だから、毎年スルー。
運転席で表情をコロコロ変えるなずなに視線を送る。
すぐそらす。
見つめちゃいけない。
・・・・・・ここでは。
「おい、お前、今日・・・・・・夜時間ある?」
「うん!!ある!!」
「そんな嬉しそうな顔すんな。ドアホ」
「デートしてくれるの?」
「別にそういうわけじゃないけど」
こんな俺だけど・・・・・・
しっかりホワイトデーのプレゼントを買っていた。
たったひとつだけ。
なずなにだけ。
どうして、好きになったのか自分でもわからない。
別に好みってわけでもない。今までの彼女との共通点は、全くない。
ドジだし、天然だし、まっすぐ過ぎて危なっかしいし。
俺が見ていてやらなきゃどうにかなっちゃいそうで。
まぁ、ほっとけないっつうか。
それが好きってことなんだけど。