【続】恋の坂道発進―2010年ホワイトデー短編―
俺の体をいつも心配してくれた。
一人暮らしで、コンビニ弁当が主食だった俺に、差し入れだと言っておいしいお弁当をくれた。
お前に似て、わけのわからんおかずだったが、おいしかった。
栄養も愛情もたっぷりだった。
「お前が遅いから、俺もう限界」
信号で停まった時、俺は後ろの席の足元に手を伸ばし、なずなの頭に触れた。
まだ隠れたままのなずな。
「もう隠れなくていいよ」
頭を撫でる。
俺の手を握る。
ドキドキしながら手を伸ばしたのに、なずなは・・・・・・
ちっとも俺の気持ちをわかってねーんだから。
「うわぁ~、塩崎先生の手だぁ~。かっこいい」
「ドアホ!!もう隠れなくていいって」
「何だか楽しいんだもん。芸能人のデートみたいで」
「あっそ。好きにすれば」
バカだけど、俺はこんななずなにいやされている。
もうなずななしでは生きていけないんじゃないかと思っている。
俺もバカになれる。
なずなの前では。