姫が王子で王子が姫で。
姫が王子で王子が姫で。
彼が彼女で以下略。
「……なあ、ミオン」
ガタンゴトン。
お馴染みな感じの音を立てながら、朝の通勤通学ラッシュの電車は走っていた。
誰もが密着する押し込まれた空間で、わたしに静かな声で話しかけてきたシオンは、横目にわたしを見つめた。
「ん?なに?酔ったの?」
首をかしげつつ尋ねると、シオンは首を横に振って否定を示した。
「違ェ。つか俺が酔うわけねェだろ」
まあ、それはわたしも知ってる。
「じゃあ、どうしたの?」
もう一度聞くと、シオンは視線で後ろ見ろと伝えてきた。
性格には、後ろの下の方。
だからわたしは、なるほどねーと頷きながら視線だけでその指示された場所を見た。
それからシオンへと視線を戻し、グッと親指を立ててみせた。
わたしの親指を見届けて、口元を歪めてニヤリと笑ったシオンは、
次の瞬間。