姫が王子で王子が姫で。
母さんは一瞬考え込もうとして。
「……そんなことはいいの!双子なんだからどっちでもいいのよ!はいはいさっさと用意しなさい!」
くるっと回れ右をして、キッチンへと戻って行く母さん。
ミオンもムッとしたような顔をしたが、残りのパンを頬張り席を立った。
「もういいや!シオン、早く用意しよう」
「わーってるよ!」
リビングのドアを荒々しく開けると、寝室の方から丁度父さんが起きてきていた。
「お、今日はどっかお出かけか?」
「うん!」
元気よく頷くミオンの後ろで、俺はマジマジと父さんの顔を見上げる。
母さんも同じくだが、やっぱ2人とも美男美女だ。
……と、思うと腹が立ってきた。
マナミが言っていた“他人から見たらうらやましい悩み”だろうがなんだろうが、俺は俺で悩んでんだクソが!