姫が王子で王子が姫で。
「なあ、おっさん。ちょっと聞くが、あんた、男のケツ触って楽しいか?」
いつの間に掴んだのか、スーツ姿の頭のてっぺんがちょっといやかなり残念なおじさんの手をグッと力強く、
それはもう握り潰す勢いで掴んでいた。
おじさんは相当ビックリしたのか、目を思い切り見開いて、自分の手を見つめ、
それからシオンの顔を見つめた。
「え、いやぁ、ワシはそんなつもりは……!」
「ふぅん、へぇ、ほぉ……。しらばっくれるつもりかンの変態野郎があぁん?」
あわわわわわー。
待って待ってシオンくん。
あんまり顔を近づけちゃダメだって、おじさんちょっと顔が赤くなってるって逆効果だって。
でもめちゃくちゃ怒ってるシオンにはそんなこと目に入らないらしく。
だからわたしがしかたなく。
「まあまあ、落ち着いて。ここ車内だし、話は駅についてからってことで……」
「ンだよミオン。この変態野郎を庇うってのか」
「いやいや、違うよ。とりあえず離れて、ね!」